病気になったら皆さんは病院に行きますよね。総合病院だと、診察を受けたい課ごとの待合室で、時間帯にもよりますが数十分から1時間程度も待たされます。午前中の診察は、特に多くの患者さんで待合室の椅子は埋め尽くされてしまいます。
 様々な症状を訴える患者さんがいる中で感染症に罹患している方々もいるはずです。例えばノロウイルスに感染した患者さんが居たとして、その患者さんがトイレを使用した後、ドアノブ・手すり・待合室の椅子・壁などに触れるとします。ドアノブや手すりや椅子は、他の患者さんも病院のスタッフさんも触れる場所です。
 ノロウイルスに感染した患者さんの便1gあたりに含まれるノロウイルスの数は、ざっと1億から10億個と言われています。便が完全に下水道に流されれば、そこから感染する可能性は高まらないのですが、問題は嘔吐物(吐瀉物)です。
 待合室で患者さんが嘔吐した場合、単に拭き取るだけでは全く効果はありません。純度70%のアルコール製剤や塩化ベンザルコニウム石鹸(逆性石鹸)では、ノロウイルスは死滅しません。綺麗に拭き取ったつもりでも、ウィルスはむしろ辺り一面に拡散された状態になっています。
 嘔吐場所が暖房の暖気で乾燥したらどうでしょうか?一見綺麗に乾燥されて、安全になったように見えます。
 しかしそれは間違いです。暖気に乗って、辺り一面の空間に撒き散らされた格好になります。それを他の患者さんや病院のスタッフさんも、呼吸時に体内に取り込んでしまうことになります。外来病棟で留まればまだ救われますが、病棟や院内厨房にまで拡散してしまうと、本当に大変な事態になります。しかも、ノロウイルスの生命力は他のウィルスよりも強く長生きなのです。
 院内感染は、被害者が同時多発的に発生するまで、起きたかどうかが分かりません。更に、起きた時は(発覚した時)、時すでに遅しなのです。故に、そうした被害を最小限に食い止める策を事前に講じることは重要なのです。二酸化塩素による空間除菌や、定時の清掃に二酸化塩素製剤を採用することは、そうした被害を事前に予見して行うべきものであるとも言えます。院内感染は、病院経営者側の責任問題に発展する可能性もあるため、こうした安全管理は徹底させるべきでしょう。

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